猫セミナー伊勢の旅 by上野陽子

  • 2007/11/02(金) 14:44:44

理屈じゃないんだよね、実感だよね。
遊びながら、“気づいた”「猫セミナー伊勢の旅」


 10月22日の月曜日に「南里さんの“目うろこ猫セミナーの旅”に参加して、伊勢に行きたいなぁ」と思ったら、27日土曜日の朝には新幹線に乗っていました!!

 南里さんと私のつきあいは、私が編集をしていた『Catia』という雑誌で2001年に取材をお願いして以来のこと。久しぶりに南里さんから電話をもらって夕食をともにし、話に花が咲いていたときのことです、南里さんが「来週の土・日に、伊勢に行くの。行かない?」と誘ってくれました。でも、私は即、お断り。だって、7日後ですよ。予定も入っていたし、あまりにも急。しかも私は左足が痛くて、“引きこもり生活”をしているんです。旅行なんて、と?んでもない。ツアー名の“パワースポット”という惹句にはそそられたものの、伊勢のことはすぐに頭から消えました。

ところが、南里さんに会った翌々日の月曜日、あまりにも天気がよくて空を見ながら深呼吸していたら、「伊勢に行くべきだ」ってどこからともなく“メッセージ”が!! 「え?!?」って思った瞬間に身体が興奮し出して「行きたいよ?!!」って大騒ぎ。こうなったらもうダメです。仕方ないと週末の予定をキャンセルして、ツアーに参加を申し込んじゃったのでした。

そんないきさつで始まった、私の『伊勢神宮パワースポット巡りと目うろこ猫セミナーの旅』。新幹線で隣りの席だったのが、ラストぎりぎりに申し込んだというプロのフォトグラファーである熊ちゃん(熊田治江さん。このツアーで写真を撮りまくってくれた功労者)。初対面だったけれど同じタレントさんを取材したこともあって、ちょっとした裏話で盛り上がりました。ツアーってなんとなく苦手かも…と思っていた私だけれど、幸先のいいスタートです。

名古屋からは合流組みと一緒にバスで伊勢へ。南里さんは自己紹介を兼ねて、最近観た「森光子の“圧倒される存在感”」、「勘三郎の凄み」といった芝居の感想から、毎週木曜の17時から22時まで開店している【猫Bar】のこと、懇意にしている木村晋介弁護士と開いた落語会のことなど、生活をいかに楽しむかの“ヒミツ”を楽しそうに語っていきます。

特にへぇ?と思ったのは、「鏡」と「カガミ」の話。よく「人は自分の鏡だ」といいますよね。自分のいい部分もイヤな部分も鏡を見るように相手に映し出されるって。南里さんは言います、「その『カガミ』から『ガ』を取るとね、『カミ』が残るでしょう。鏡から我を取ると、『神』が残るの。皆さんも私も人間は“我”を取れば、“神”なんですよ?」。

バスのセミナー
【1回目目ウロコセミナー】
そんな話を聞きながら、のんびり景色でも眺めながら旅行気分に浸れるのかなと思ったら、そこは南里さんです、そうは問屋が卸さない。いきなり、「じゃ、皆さんは自己紹介じゃなくて、他者紹介ね!!」ときた。席順をクジで決めたものも、こういう策略があったわけです。他者紹介って相手を知るために、じっと観る、しっかり聴く、言葉にならない気配を感じ取る、と、五感が自然にフル回転するんですよね。日頃眠っている感覚、「第六感」を目覚めさせる技術のひとつ。お、来たなって感じです。

私の隣りは、香川県から参加したという理知的な大きな目が印象深い安芸紗会さん。猫のフードは手作り、白血病の愛猫ケアの一環として尿のペーハー値をデータ化しているという研究熱心な女性です。初めから親近感を感じていたけれど、5分間の他者紹介のための相互インタビューで、さらにグググッとお互いの距離が縮まった気がします。

26人の紹介が終わるころには、みんなの表情が見違えるほど柔和になって、いい「気」が全体に流れていました。初対面の遠慮や不安がきれいに消えたなぁという感じ。「これで私たちは“アマテラス・ファミリー”だからね」という南里さんの声がバスの中に響きました。

そういえばこの日、台風20号が接近していて、夜には東京に上陸するかもという天候でした。だから、昼食後の二見浦・夫婦岩(縁結びのシンボル)、ミキモトパールアイランド(真珠の博物館。海女さんの真珠取りショーも)でも結構強い雨が降っていたんです。ところが、夕方、鳥羽市にある神明神社(参道にある石神さんは女神といわれ、女性の願いごとなら必ず1つは叶えてくれると伝えられる)に着いたときは、きれいな夕焼け空。

台風一過

【台風一過のスッコーンと抜けた空】

緑が雨に洗われたせいで、葉っぱと土の匂いがあたりにゆらゆらと立ちのぼっていて、とっても気持ちがいいの。何本も重なった赤い鳥居の奥の、赤い提灯がかかった社は静寂に包まれ、なにやら神秘的な雰囲気です。なぁんて幽玄な気分に浸っていたら、「わかったぁ!!」って大声で叫ぶ、並木利夫さん(ツアー主催・ビッグホリデーの担当者)の声が!! なにごとかと思ったら、近所に住む91歳の笑顔がステキなおばあちゃんが、「神明神社の裏には、もう1つ見所スポットがある」と親切に教えてくれて、そのスポットを発見したという雄叫びだったのです。そこは、長寿・子宝ソテツで有名なお寺、『凡潮寺』でした。みんな、大きな幹に抱きついたり、触ったりしながら、心の中でそっと、おばあちゃんと並木さんに「ありがとう」って感謝してたんじゃないかな。

長寿蘇鉄

【境内にある大ソテツは樹齢700年以上の古木だけれど、樹勢は今もなお健在で、毎年たくさんの子を宿すことから長寿蘇鉄・子宝ソテツといわれ、多くの人がお参りするそう】

「教えてもらった寺を一生懸命探しまわって、『あった?!!』って喜ぶ並木さんって、ホントにいいやつだ」と南里さんが嬉そうにつぶやき、91歳のおばあちゃんはニコニコと手を振って私たちのバスを見送ってくました。

夕食は宿泊先のホテルで、伊勢海老のお造り、真珠貝(アコヤガイ)のヌタ、茶碗蒸し、野菜と焼豆腐の煮物、焼き魚と卵焼きという献立。「食事の量が足りない!!」という人が、「満足した」という人よりちょっと多かったかも。

お酒も手伝って、口が滑らかになり、笑い声のたえない時間が流れていきます。私も南里さんの『猫の森の猫たち』ほか2冊の出版元である駒草出版の社長・井上弘治さんにお酌をしてもらって、何年かぶりに日本酒が進む、進む。南里さん担当編集者である藤川佳子さんに、「上野さん、そんなに飲んで大丈夫ですか!?」と言われ、ハッと現実に戻りました。久しぶりの楽しいお酒です。

ただ、このツアーでは「すみません」が禁句。つい、飲み物のおかわりを頼むときに「すみません」、お酌をしてもらっては「すみません」と言ってしまい、みんな、訂正に大わらわ。南里さんいわく、「『すみません』は形だけの常套句になっていて、心がこもっていないから使わないでほしいのよね」。確かに、おかわりを頼みたければ「お願いします」、お酌をしてもらったら「ありがとう」と言えばいい。「すみません」に替わるいい言葉はたくさんあるなぁと考えているうちに、夜は静かに更けていきました。

しかし! ある情報筋によると、数人の酒豪たちは夕食後、外に飲みに行き、ワインや洋酒をあけ、〆にラーメンまで食べてきたとか。その醤油ラーメンがとってもおいしかったという噂も伝わってきています。

添乗員並木さんと南里

【ビッグホリデーの並木さんと南里】

 翌朝の日曜日は、台風一過の素晴らしい秋晴れ。7時からの朝食は、和洋バイキングです。ホテルに併設されたパン屋さんのパンをはじめ、ご飯もあるし、温泉卵やサラダ、ソーセージなど、あれこれ、おいしくて食が進みました。

南里さんも「うん、このホテルの朝食はいいね。次回もここにしようか」と満足そう。私が、もう1ついいなと思ったのは、宿泊のシステム。この猫ツアー、1人で参加してもシングルルーム料金を別に取られないんです。しかも仮に2人で参加しても夜は個人で過ごしたければ、ツアー料金内で別々にシングルルームが取れるとのこと。これって、意外に「ほしいけど、一般にはないサービス」じゃないかな。「かゆいところに手が届くサービスだ」って南里さんに伝えたら、「だって、1人で参加する人が多いと思ったから」って、当たり前のように軽く言ってました。

 そうこうするうちに出発時間になり、いよいよクライマックスの伊勢神宮。まずは外宮を参拝。鳥居をくぐると、緑がうっそうと生い茂り、あたりが数トーン暗くなって、空気もヒンヤリ。

清々しい伊勢神宮

【2日目の朝、なんという清々しさ!】
「あ、違う場所に来た」って感じです。案内されるままに神楽殿に入り、『御祈祷』開始。【『御祈祷』とは「祈願」といい、神に感謝を捧げ、 更なるご加護をいただけるように願う儀式です】とHPに書いてありました。 お祓いが行なわれ、雅楽が奏でられ、祝詞(願いごと)が御神前に奏上され、典雅な舞(神楽・舞楽)が捧げられるのですが、この間、約20?30分。皆さん、微動だにせず厳粛な姿勢で座っています。気を失いそうになっていたのは私ひとり? ちなみにこの御神楽の儀式、依頼料は3万円だけど、ツアー料金には上乗せされていないとのことでした。

神楽殿を出るときには、御神酒をついだ器が半紙に包まれてプレゼントされます。「神棚に飾っておくんだよね?」「うち、神棚ないんだけど…」という私たちに、神社の人は「お好きなようにお使いください」と笑顔で教えてくれました。日本の神さまは懐が深い、枠にはまってない、素晴らしい。「御神酒の器、猫皿にしてもいいんだよ」ってまさに目からウロコ。う?ん、やるね、神さま。

外宮を出てから、七五三を祝う子どもたちで賑わう猿田彦神社(民俗芸能の祖神)を訪ね、内宮へ(神宮参拝の順路は、多くの場合まず外宮からというのが習わし。その後内宮ヘとお参りする)。内宮では個人的な願いごとはしないようにといわれたけれど、人出も多く、賑やかで、外宮よりも庶民的な感じ。その雰囲気が一変したのが、内宮の神楽殿での「御垣内参拝」

かたじけなさに涙こぼるる

【かたじけなさに涙こぼるる】

式年遷宮(20年に1度の建て替え)への寄付を出した人は、一般の人より少し奥まで入れるのだそうです。私たちは1人1000円の寄付で、神様にちょっと近づくことができました。代表者である南里さんが横に整列した私たちの前、中央に進み出て、二拝、二拍手、一拝の拝礼をし、私たちも南里さんにならって同じ動作を行ないます。背筋が伸びる、厳粛な気分。

儀式が終わって南里さんを見ると、うっすらと目に涙が…。「みんなのおかげで、こうした貴重な儀式に参加することができました。本当にみんな、ありがとう!!」。五感全開の南里さんには、伝わってくるものが人より大きいみたい。「御垣内は一般の場所よりパワーが3倍強いの。天からのエネルギーが強く入ってくるスポットだから、ビンビンきた!!」と感激の面持ちです。樹齢何百年の大木の下、身体に爽やかな風を感じながら、「なんだか、気持ちいいね」とみんなもしあわせそうでした。

アマテラスファミリー

【アマテラスファミリー万歳!】

昼食はおかげ横丁で、簡単な“買い食い”ランチの人が多かったのではないかな。それというのも、おかげ横丁、大混雑だったのです。昨夜散策したときは、『伊勢 ヨイ夜ナ』(界隈を5000個のロウソクや提灯で飾るイベント)が強風で中止になっていたため、人影はまばら、シャッターを閉めている店も多く閑散としていました。

伊勢ヨイ夜ナ

【灯籠の灯、五十鈴川のせせらぎ】

ところが、昼間はまるで土日の原宿竹下通りのような大賑わい。短い自由時間内でレストランに並ぶのは無理だったので、コロッケや肉まんを頬張ったり、牛丼をかき込んだりの軽食を取っているメンバーをそこここに見かけました。ちなみに私が食べたのは、TBS『はなまるマーケット』で紹介されたという「ジャガバター天」と「銀杏天」。しかし、南里さんは“動物の勘”が働いたそうで、おいしい松坂牛ランチを満喫したそう。う?ん、我々、まだまだ修行が足りません。

そして旅もラストに近づいてきました。午後1時半にバスに集合、名古屋へ向かいます。この帰りのバスでも、猫セミナーが行なわれました。現在、猫の森に住むチビちゃんと亡くなったお母さん(人間のね)の話に涙したり、行きのバスで出された宿題「なぜ、雀は電線から落ちないのか」の答え合わせなど、さまざまなテーマで話が進んでいきます。

と、ここまで書いて聞こえてきたのが、クジでバスの席が隣り同士になった藤川さんのあきれたような声。「上野さん、よく南里さんのあんな大きな声の中で眠れましたね」。そうなんです、襲ってきたものすごい眠気に負けて私、眠っちゃったの。だから、「なぜ、雀は電線から落ちないのか?」という問題の解説、聞いてませ?ん。ごめんなさ?い。そこで、ツアーに参加できなかった皆さん、この問いの答えは、皆さんで考えてみてください。ヒントは、「“常識”で考えちゃダメよ」です。答えは、別枠で。

午後3時前、とうとう名古屋駅に到着。名古屋で別れる皆さんと名残を惜しんで、東京組は新幹線乗り場へ。ここで個人的な“ある事件”が勃発します。
実は私、「『赤福』はないだろうけれど、よく似た別商品」をおみやげに頼まれていたのです。おかげ横丁で聞きまわったけれどどこにも置いてなく、「神宮の駐車場内にあるおみやげもの屋さんにある」という情報を得るも、「今日は売り切れ」という悲しい返事。最後の望みを託して新幹線乗り場で聞いたところ、「ホームのお弁当屋さんで売っている」とのこと。私は引き続き藤川さんにつきあってもらい、その『赤福』の競合商品を探しに行きました。そのときの私は、「欲」の塊です。「赤福もどきを手に入れたい?!!」ということしか頭にありません。でも、最後の望みのツナであるホームのお弁当屋さんまでもが「ありません」のつれないひと言。がっかりして、「じゃあ、出発時間まで待合室で座ってようか」と藤川さんとベンチで時間を潰していたのです。
すると、藤川さんの携帯に南里さんからの電話が。「どこにいるの? 次の新幹線だよ」。そのときは、なぜ電話されているのか全然わからなかった私。新幹線が到着したらみんなと合流すれば問題ないよねと思っていたのでした。これが、まさに、カガミの「ガ」です、「我」。私はカミの間に挟まった「ガ」を見ました。「我」がどれほど、まわりに影響を及ぼすか…。幸い、大事には至りませんでしたが、自分のことしか考えていないと必然的に“摩擦”や“波乱”は起きるのです。後日、私が必死で手に入れようとしていた赤福の競合商品『御福餅』も、製造日などを改ざんしていたことが明らかになりお詫び会見を開くというオチまでついちゃいました。

東京に向かう新幹線の中で、みんなに、「食べて?」とういろうを切ってまわしていた小倉泉美さんの軽やかな姿を思い出し、「欲は身を滅ぼす…」と思わずつぶやいた私です。

次に繋がる旅でした

【感謝、感謝、感謝!】
理屈じゃないんですよね、頭でもない。身体でわかる。それが、南里さんの「猫ツアー」の最大の魅力。


文章 上野陽子※「Catia」はCSなんりのオンラインショップで買えます!
写真 熊田(大竹)治江